線。

4/16
前へ
/113ページ
次へ
 それからというもの、そのバンドの音楽にハマりにハマり、夢中になった。  ギターへの憧れも、日に日に増していく。  親にギターを強請ってみたものの、『それは将来に必要のないもの』と買ってもらえなかった。  仕方なくコツコツとお小遣いを貯め、お正月に貰ったお年玉を合わせ、纏まったお金が出来ると、それを握りしめて近くの楽器屋に走った。  そこで、手持ちのお金でギリギリ買える値段の中古のギターを購入した。  中2の冬、初めてギターに触れた。  ギターを買い与えてもらえない俺を、親がギター教室に通わせてくれるはずもなく、HOW TO本を買って独学を試みる。  全然弾けなかった。  今度はネットに助けを請う。  ネットというのは、本当に素晴らしいツールだと思う。  ギターの得意な奴が無料で教えてくれるコンテンツが、割とたくさんあるのだ。  という事は、先生を選び放題。  優しくて分かり易く、全くの初心者のオレにも根気強く教えてくれる先生を見つけ出す事は、そんなに困難な事ではなかった。  パソコン画面の向こう側の先生に教わりながら、毎日飽きもせず、ネットを駆使しながらギターを掻き鳴らす日々。  楽しくて仕方なかった。  中3の終わり頃には、たいていのバンドのスコアは、上手い下手は置いておいて、弾ける様になっていた。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加