夕暮れ迫る春の嵐

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その日の夜 「一体どうしたって言うんだ、母さんは!夕飯が食べられないなんて、大丈夫なのか!」 夕飯すら要らないと、部屋に籠もってしまったサカエさん。 マザコン息子は、心配で台所でいらついていた。 「そんなに心配なら、様子を見てきたらどうです」 あきれ顔の妻に、彼は真剣に言う。 「母さんが、寝たいから起こさないでくれ。部屋に入るなと言ってるのに入れるか!」 「はいはい、可愛い可愛い息子が入れないのなら。嫁は絶対に無理ですよ」 妻に呆れられて、今度は娘に矛先が向く 「楓、母さんが心配じゃないのか」 「アタシだって胃が痛いくらい時々あるし。明日になったら、ケロッとして爆食するって」 「私も楓と同意見ですよ。お義母さん心配要らないですよ」 嫁と娘に大好きな母親をけなされて、怒りにまかせてテーブルをバンッ!と彼は叩いて立ち上がった。 その足で、母の部屋に向かうと大声で声を掛ける。 「母さん。体調はどうなんだ」 しばらく待つが、中から返事は無い。だが、聡が一方的にまた話しかける。 「遠慮するなよ母さん、病院行くか?」 それでも沈黙は続く。 「聞いてるなら返事くらいしてくれよ。母さん!!」 さすがに、我慢しきれなくなったのか聡は襖を開けた。 「うわあああああ、母さんがいない」 悲痛な彼の声が響く。
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