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余りの聡のうろたえぶりに、2人は仕方なく彼の元に行く。
「母さんが居ないんだよ、千鶴子」
「お母さんが居ないって、あなた冗談ばっかり」
言われて、部屋の中を覗くと本当に人っ子1人いない。
しかし、決しておかしい事では無い。
サカエさんの部屋は裏庭に面している、だからそこから出入りは可能なのだ。
「お祖母ちゃんさあ、夕飯要らないって言いつつ。お腹すいて出かけたんじゃ無い」
「そうね、あの人ならあり得る。強情だから、要らないって言った手前、欲しいって言えないだろうし」
「あ、お母さん。お祖母ちゃんのバックチェックしてみようよ」
バックとは、サカエさんの紫色のラメ入りのポーチの事だ。
いつも、押し入れの一番下の開けた所にしまい込んであるのだ。
確認 の為に、押し入れを開けると・・・。
ドサッ!ドサッ!ドサッ!
大量の何かが入った、スーパーのレジ袋が落ちてきた。
1つは、どうやらサカエさんの食料ストック。
お腹が空いた時用の隠しカップラーメン。
もう1つは、甘いお菓子が沢山入った物。
そして、最後の物は重みがある。
「これ、何だろう」
「楓、ちょっと見せて」
女性2人で、中を見ようとすると
「おい、お前等人の物を勝手に見るな」
聡は怒って、静止するが全く気にする様子はない。
中身は封筒だ。
すべて、宛名は無く封筒の中には手紙が納められていた。
1枚開き、それを読んだ楓が
「これラブレターだよ、お母さん!」
と叫んだ。
「本当だお義理母さんの文字。これ恋文よ」
手紙を聡の顔の前に付きだす。
しかし、驚くどころか
「母さん、恋してたのか。何て不憫な」
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