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そして、二言目には「ところで、母さんはどこに行った」と妻に聞くのだ。
毎朝恒例の問いかけに、妻の千鶴子は即座に答える。
「窓の下にいませんか、ご近所さんと話している声がしましたよ」
道路に面している台所、確かに賑やかな笑い声が響いてる。
窓を開けてみると、案の定サカエさんの独断場が繰り広げられている。
お隣とお向かい、2人のカラオケ仲間相手に独断場状態。
「だから言ってるのさ。
18にもなって男の1人もいないなんてね、恥ずかしいったらありゃしない!」
どうやら、今日は楓の話題らしい、ご近所さんもあきれ顔だ。
何やかんやで、毎日この調子なのだ。
その会話は、しっかり聡の耳にも届いていた。
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