0人が本棚に入れています
本棚に追加
夕方になると、サカエさんのハチャメチャっぷりは最高潮に達する。
外出して戻った彼女は、猪の如く前しか見ていない。
廊下で遭ったら最後、突き飛ばされる可能性が大なのだ。
しかし、礼儀にもうるさい。しっかりと「おかえり」を言わないと怒られる。
だから、今日の様に廊下で帰宅時のサカエさんに遭遇したらまずは挨拶なのだ。
「おかえり」に返事がなく、もう一度楓は声を掛けたが何も返事が戻ってこない。
「お祖母ちゃん、大丈夫」と声を掛けたが、封筒一枚を握りしめて部屋に幽霊の様に
入って行ってしまった。これは、間違い無く異常事態!
その上に、彼女は窓の外を見ると。
大き過ぎるため息を付き
「暮れていく空は切ないねえ」
と、ボソッと呟いたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!