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彼を見送ると、私は緩慢な動作で食器を洗う。
洗い終わった食器を片付けると、暇つぶしにテレビを着けた。
『次のニュースです。先日品川区で起きた一家三人殺人事件ですが、警察は未だ現場から長男・若柳薫君が見つかっていないことを明らかにしました』
辛気臭・・・
憂鬱な気分になりテレビを消すと、どうにもならない思いと共に体をカーペットの上に投げ出す。
日生ちゃんは一昨日成田に着いた、って話だっけ
最近の彼の情緒不安定に確実に関係しているであろう少女を思い出すと、自然と溜め息が出た。
『馬鹿なくらいでちょうどいい』海をそう形容した彼女が彼を傷つけるとは思えない。とすれば、後は彼の問題だ。
どうなることやら
彼次第だ、という結論が出るとこちらとしては気を揉んでも仕方がないことが分かる。
とりあえず、眠いわ・・・
安心したのと体の倦怠感も手伝って、私の体は心地よい睡魔に包まれていった。
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