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この青年、陽と陸は自分と共にペンシルベニアで記憶障害を抱えたまま見つかった人間だ。陸は自分と共に最初から日生の下に引き取られていたが、陽は自分が早次の下に行った後、自分と入れ違いに日生の下に来たという。
が、ここまで無愛想な人間だったろうか。
「陽、何だか雰囲気変わっていませんか?」
恐る恐る問うと、彼は眉間に一本皴を寄せた。
「・・・お前は、俺が何の理由もなしに日生の監督下にいると思ってるのか?」
「あー、もう。そこで険悪になるの止めてくれるー?」
それなりの事情があったに決まっているだろう、と言外に言われ、そうですね、と納得しそうになる。
思いもしない圧迫感に息を呑んだ時、陸がしかめっ面で陽の元に寄った。
「ほらもう、陽ちゃん。海は何も知らないんだからしょうがないでしょう。そんなに眉間に皴寄せてると、クセになっちゃうよ?ただでさえ、目つき悪いんだから」
「目つきって、お前・・・」
返す言葉に迷う陽に構わず、陸はこちらを見て溜め息を吐く。
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