Caffe moca di caffe

5/13
前へ
/470ページ
次へ
「むしろスミマセン、私のタネが不甲斐ないばかりに」 「・・・」  また何を言い出すのか、この男は  呆気に取られたまま固まっていると、奴は私の手を取り、口づける。 「次はしっかり植え付けてみせるので、これに懲りずにご協力お願いします」  ・・・  彼の言葉が、私に罪悪感を感じさせないための配慮だというのは、今までの経験から、嫌というほど知っている。  が、頼むから言葉は選んで欲しい。  そんな私の願いを知ってか知らずか、彼は私の指を口に含んだ。 「・・・ねぇ、何をしてるわけ?」 「え?彼の感触を消して欲しい、と仰るので」  それだけ言って、指の腹を甘噛みする。 「-っ」  直後にやってきた舌の感触に身を竦めると、彼は片手でカーテンを閉めた。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

351人が本棚に入れています
本棚に追加