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「むしろスミマセン、私のタネが不甲斐ないばかりに」
「・・・」
また何を言い出すのか、この男は
呆気に取られたまま固まっていると、奴は私の手を取り、口づける。
「次はしっかり植え付けてみせるので、これに懲りずにご協力お願いします」
・・・
彼の言葉が、私に罪悪感を感じさせないための配慮だというのは、今までの経験から、嫌というほど知っている。
が、頼むから言葉は選んで欲しい。
そんな私の願いを知ってか知らずか、彼は私の指を口に含んだ。
「・・・ねぇ、何をしてるわけ?」
「え?彼の感触を消して欲しい、と仰るので」
それだけ言って、指の腹を甘噛みする。
「-っ」
直後にやってきた舌の感触に身を竦めると、彼は片手でカーテンを閉めた。
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