Caffe moca di caffe

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「・・・いくら職場じゃないとはいえ、病院でイチャつくのは止めてくれないかしら」  次の瞬間、カーテンが開き、呆れ顔の院長がこちらを見ていた。 「-っ、いい加減、この手を離してくれない?」  強引に手を引くと、彼は面白くなさそうな顔で私の手を解放する。 「もう少し味わっていたかったんですけどねぇ」  口を尖らせられるが、生憎、そんなものに絆される気はなかった。 「そういうのは、退院してからにしてちょうだい」  呆れて言うと、その瞬間彼の目に艶かしい光が宿る。  げ 「ええ。それじゃあ楽しみにしています」  にっこり笑って答える彼を見て、『早まったかもしれない』と後悔の念が頭を掠めた。 「まったく、とんだバカップルね」  呆れたように院長は肩を竦める。 「ねぇ、そう思うでしょう?」    
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