351人が本棚に入れています
本棚に追加
後ろに問いかける院長の視線の先を追うと、そこにはしばらく前に病院を去ったハズの、見知った顔がある。
「おや福留さん、お久し振りですね」
特に動揺もなく言う海の態度とは正反対に、彼女は身を縮めていた。
「・・・お久し振りです。その折は、ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
「いいんですよ。連絡してくれて、ありがとうございました」
刺のない顔で笑い、次いで彼は私を見る。
「槙さん、ここに運ばれてくるまでに、応急処置をして下さったのは福留さんなので、お礼を言って下さいね」
「え?あ、アリガトウゴザイマシタ・・・」
「いえ。・・・その、いつかはゴメンなさい」
ぎこちない声で謝罪の言葉を述べる彼女は、三ヶ月前とは別人のようだった。
最初のコメントを投稿しよう!