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「私は、消耗品じゃない。もう、あの男の『オモチャ』には戻りたくない」
麻酔からそろそろ目覚めるはずだ、と彼女の担当医から言われ、出勤の前に彼女の様子を見てこようかと 彼女の病室に出向くと、彼女の悲痛な声が聞こえてきた。
そして次の瞬間、「ああ、そうか」と納得する。
『誰かを想う気持ち自体は間違っとらんよ』
綿貫先生は、このことを知っていたからそう言ったのだろう。
私が病院に勤めた時から秘書として院長の横にいた彼女は、よく言えばクールビューティー、悪く言えば無愛想な女性だった。
女子には優しいが男には手厳しい彼女は、同性愛者で実は院長とデキているというのが専らの噂。
その彼女が、私たちのアイドルだった碧先生のお姫様だと知った時、頭に血が上ってしまったのを覚えている。
今思うと、なんてバカなことをしたのかと思う。
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