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立ち尽くしていると、後ろから肩を叩かれる。
そこにいたのは、私に今の職場を紹介してくれた人で以前の職場の病院管理責任者、呉羽院長その人だった。
彼女はそのまま、近くの椅子に私を促す。
「院長、その折はお世話になりました」
「元気でやってるみたいで安心したわ。よく働いてくれてる、って、そちらの施設長からも聞いてるしね」
「救命と比べたら、大分楽かもしれません」
「それもそうね」
笑い混じりにそう言うと、彼女も笑顔で返した。
「それより院長、槙さんって・・・」
「・・・あの子が大学生だった頃、付き合った男がロクでもなかったらしくてね」
そう言うと、院長は溜め息を吐く。
「父親の死もあって、すっかり人間不信になっていたところに、主人が声をかけたのよ」
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