Caffe moca di caffe

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「そうですか」  その言葉が、虚しく響く。 「あれ以来、あの子は周囲に無関心のまま息をしていた」  確かに、周囲に心を寄せず、淡々と生きていた彼女は『息をしていた』だけだったのだろう。  ・・・碧先生に出逢うまでは。 「今回のことは、彼女のろくでもない元カレが、彼女をAVに出演させようと目論んだことが原因よ」 「AV・・・」  それであんな格好のまま逃げ出したのかと、ようやく合点がいった。 「だけど、それも私が手をうったおかげで、段々追い詰められて行ってね。果ては、彼女をまきこんで、心中しようとしていたみたい」  それは、彼女にとっては迷惑以外の何物でもないだろう。  まして、彼女はあの時は身重だったはずだ。 「院長、彼女のお腹の中の子は・・・」 「ダメだった。原因は寒い中あんな格好で歩き回っていたのもそうだし、無理矢理犯されたことも、最近のストレスも当然ある。よく分かってはいないけど、彼女には染色体の異常、っていうことで伝えるそうよ」    誰が、というのは分かりきったことだ。  今回のこの顛末に、院長もダメージを受けていることが分かる。
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