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「陽ちゃんは最初ビルの所にいたんだけど、ビルの奥さんに関係を強要されちゃってね。それであたし達のところにきたのよ」
「陸っ!」
「・・・ビルって」
「そう、ビル=ハワード。あそこの奥さん、ちょっと弱い人だったからねー。だからって、同情で抱くとかは、あたしには理解できない・・・」
そこまで言った陸の口を塞ごうと、後ろから陽が手を回す。
ビル=ハワードはFBIペンシルベニア支部の一員で、日生と早次の同僚だった人物だ。ようやく思い出して意外な事実に目を見張っていると、その思考を遮るように陽の溜め息が聞こえる。
「もういい。お前、少し黙れ」
「何するのよー」
陽の口の隙間を縫って陸は文句を言い続ける。
「クッ・・・」
そんな二人を見て奥から院長が堪えるように笑みを溢した。
「・・・院長」
「ご、ごめんなさい。可笑しくて」
気持ちは分かりますが、とそう同意しかけた自分たちを見て、陽は溜め息を吐く。
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