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浴室の中では、他愛ない話をいくつかして、互いの背中を洗い、･･･まぁ、案の定少しの睦み事となり、彼に抱えられて浴室を出た。
「辛い記憶は、幸せな記憶で上塗りしてしまえばいいんですよ｣
そう言って、彼はベッドの上に私を横たえる。
「ヒッ･･･｣
ベッドの上で坂木に抱かれたことを思い出し、思わず息を飲んだ。
記憶の中で迫りくる真っ黒な闇に怯え、私の手は空をかく。
「大丈夫です｣
その言葉と共に彼は私の手に自分の手を重ね、握りしめた。
その行為に、自分の緊張が溶けてきたのが分かる。
･･･
「今から抱くのは私です。よく見ていて下さい｣
そう言って、彼は私の髪を手に取り、口づけた。
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