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「そういうわけで、これからこの病院でお世話になります。ドーゾヨロシク」
「あ、因みに陽ちゃんが薬剤師で、アタシが栄養士ねー」
疲れ切った表情で頭を下げる陽とは対照的に、あっけらかんと陸は言い放つ。陽に憐憫の情がわいてくるのは仕方のないことだろう。
思えば、初めから陸はこういう人間だったな、とフォローしていた当時を懐かしく思った。
「苦労しますね」
「・・・ああ」
ほぼ初対面のはずの陽とこれほど通じ合えるのは、ある意味陸のおかげかもしれない。
自分は適当にあしらっていた気がするのでここまで振り回されはしなかったと思うが、少しだけ陽が哀れに感じた。
「希望するなら、すぐにでも目付け役を代わってやるぞ」
「それは無理な相談ですね。私のお姫様に怒られちゃいますから」
「オヒメサマ?」
反応したのは陸だ。
面倒なことになりそうだな、と即座に思うが、時はすでに遅かった。
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