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「無理そうだったら、いつでも言って下さい」
そう前置きをして、彼は私に触れる。
いつもより丁寧な筈のその行為が、かえって刺激を含んでいるのは気のせいだろうか。
「あの男は、どれくらい触っていたんですか?」
いちいち坂木と比較し、それ以上の行為に及んで見せる。
「やあっ・・・」
そう言って身を捩ると、肩口に顔を乗せ、勝ち誇ったような顔を見せた。
「私は貴女への愛でできてますから、ある意味こうなるのは仕方ないんですよ」
「・・・」
そんなことを言われてしまえば、もはや自分を卑下する言葉は出てこない。
「素直に感じて、辛かったら、我慢せずに泣いて下さい。『一緒にいる』って、そういうことなんだと思います」
一体、何のことを言っているのか、もはや頭が追い付かない。
先程まで私を翻弄していた指を引き抜き、彼の手のひらは私の髪を撫でた。
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