Caffe

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「でも、アイツの『オモチャ』にされてからは、恐怖しかなかった。離れてからは、それと嫌悪感。久しぶりに電話がかかってきた時も、震えが止まらなかった」 「無理をしなくてもいいんですよ」  彼は、そう言って私の肩に腕を回す。  そう言われて、自分が震えていることに気付いた。  けれど、甘えてばかりではいられない。 「貴方と付き合ってることがバレた時に言われたの。『その医者もボランティアか』『お前なんかが幸せになれると思うな』って。  貴方が聞いたら怒りそうな言葉でしょう?そう思った時、初めてそれが分からない彼を『可哀想』だと思った」  長い間私を縛っていた呪いを解いたのは、貴方だった。それを貴方に知ってほしかった。 「貴方が好き。貴方が私に幸せをくれたの」  それ以上は、もう言葉にならない。  涙で滲んだ泣き声を、彼の唇が遮った。  
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