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「あと、件の人のお墓って、鋸南にあるんですか?」
・・・
実は、その辺りは調べる気にもなれず、海にでも献花するつもりだったので、言葉に詰まる。
押し黙った私を見て、彼は肩を竦めた。
「だったら別にいいじゃないですか。幸せを当てこすってあげましょうよ」
今さらながら、ひしひしと感じる。
当然のことだが、彼は坂木が嫌いだ。
この件に関しては仕方のないことなので、ここは私が折れた方がよさそうだ。
「分かった」
諦めたようにして、彼の用意したカフェオレに口を付けると、彼はご機嫌に頷く。
「あと、帰りに指輪も見てきましょうね」
「は?」
唐突な発言に、カフェオレを吹き出しそうになった。
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