352人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
昼食を食べ終えると、彼は私の手を引いて花摘のスペースに連れて行く。
「綺麗ですね」
そう言って笑う彼の顔が、少しぎこちなかった。
ま、当然か
作った笑顔で取り繕い、彼に背を向けて花を摘む。
両手いっぱいに抱えられたそれは、彼とお腹にいた子への罪悪感の量だった。
「何か、悪かったわね」
そう言って彼の元に近寄ると、彼は私の頭の上に花冠を乗せる。
・・・
驚いて彼を見ると、彼の手にもう一つ花冠が握られているのが分かった。
「それって」
「聞いて欲しい話があります。いいでしょうか?」
そう言って、彼は悲しそうに笑った。
最初のコメントを投稿しよう!