Caffe

21/24

352人が本棚に入れています
本棚に追加
/470ページ
「いいけど、何?」  少しだけ不安になって問うと、彼は私を遊歩道へと促した。 「ゴメンなさい」  横で聞こえたのは、謝罪の言葉だ。  一体何があったというのだ。 「貴女が坂木に拐われる少し前、貴女のスマホに坂木から連絡があったんです」 「ああ」  当然予測できる事態だったので、特に慌てずにそれを聞く。 「その時、彼が貴女のことを罵るのを聞いて、堪えきれずに言い返してしまいました」 「・・・どんな風に?」  坂木が私のことを罵るのは容易に想像できる。  最早それについては何の感情も沸かないが、彼がどんな風に言い返したのかは、少し興味があった。 「・・・自分本位な貴方と違って、私は槙さんを幸せにする気でいっぱいなので、貴方の存在は迷惑でしかない、と」  目を合わせずに、彼は告げる。
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加