Latte e miele

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「日生ちゃんから坂木が心中するつもりだった、って聞いた時は『また助けられた』って思ったわ。多分私は、貴方がいなければ、ここにいなかった」  頬を伝う涙が冷たい。だが、そんなことには構っていられない。  そのまま彼の顔を見た。 「今の私は、貴方なしでは存在していないから、私を全部あげる。貴方が記憶を取り戻す日まで、貴方と一緒にいるわ」  それだけ言うと、彼を抱きしめる。 「・・・ここには、坂木との記憶にお別れをしに来たの。もう、私の中にはあってはいけないものだから」  坂木は、可哀想な男だと思う。  けれど、私がこの先 海と生きていくためには思い出すべき記憶ではない。  お腹の中にいた子が亡くなった、という事実も踏まえると、尚更恨んでしまいそうだから。 「一緒にいて。お願い・・・」  腕に力を込めると、彼の手が頭を撫でた。
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