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「旅館に戻ったせいで、指輪を買いに行く時間がなくなってしまったのですが、また今度でもいいですか?」
「・・・仕方ないでしょ。っていうか、いちいち言わなくていいわよ」
「失礼しました。槙さんが可愛くて、つい」
そんなことを言いながら私達は駅に向かった。綿貫先生とは、館山の駅で落ち合うこととなっている。
時間ギリギリにきた私達を見て、綿貫先生は意外そうな顔をしていた。
「・・・少しは落ち込んでいるかと思ったんだが、大丈夫そうだな。つうか碧、そのしまりの悪いニヤケ顔を何とかしろ」
「すみません。今しがた、槙さんから愛の告白を受けてしまったもので」
「ああ、そうかい」
肩を竦めて、溜め息を吐かれた。
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