Latte e miele

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「・・・お嬢さん、本当にコイツでいいのか?」  冗談なのは分かっているが、あまりの言い種に苦笑いを浮かべてしまった。 「タチの悪い男に捕まった、とは思っていますよ」 「私は槙さんへの愛でできてますから、その辺は妥協して下さい」 「ね?」  当人は嬉しそうに笑っているが、ある意味、暴力よりタチの悪い束縛だと思う。  この男といて知ったことは、悪意より好意の方がタチが悪いということ。  そして、誰かを守ることは、自分を守ることでもある、ということだ。  何も要らなかった私が、この男の傍で彼の幸せを願っている。  今回は、それに助けられた。  きっと、あの時逃げ出していなければ、私はここにいなかっただろう。 「いいんじゃないですか?だって、私じゃなければ、槙さんの相手は務まりませんし」  彼は、そう言って肩を竦める。  そんな私達二人を見て、綿貫先生も笑った。 「確かにな」  
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