Latte e miele

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「仲のよろしいことで」  奴がいなくなった後、綿貫先生が呟く。  恥ずかしさで縮こまった私は、心の中であの男への呪詛を唱えていた。 「・・・温泉に入りたかったんですよ」  入ってませんけど  苦し紛れにそう言って見せると、納得していなさそうに頷かれた。 「いいんじゃないか?健全な男女なら、普通のことだろ」 「・・・そんなものですかね」 「まぁ、お嬢さんは今まで基準がおかしかったわけだしな。大事にしてやれよ」  そう言ってこちらを窺ってくる綿貫先生と目を合わせることができず、俯いて首を縦に降ると、溜め息が聞こえる。 「?」 「碧も、自分の身を顧みないトコがあるから、尚更な」 「そうですね、見張っておきます」  言いながら、付き合う前の不安定な彼を思い出す。  様々なことを共に乗り越え、その度に自分の身に無頓着な彼を見てきた。  散々そんな彼を叱り、怒り、泣きついたおかげか、最近では自愛するようになったように見えるが、私のいない所でどうなのかは分からない。  私の言葉は、少しでも彼に影響を与えているのだろうか。
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