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「毎回毎回、何考えてるわけ?!」
あの後、シャワーを浴びると言って浴室へ向かった彼を見送り、朝食の準備を進めるキッチンで私は叫ぶ。
本日のメニューはフレンチトーストにアボカドのサラダ、それから彼用のコーヒーに、私用のカフェオレだ。
水気を切ったレタスをちぎる手つきが少々粗っぽくなってしまうのは、ご容赦願いたいところだ。
「ヤツの分だけ、砂糖の代わりに塩でも入れてやろうかしら」
「何にですか?」
「フレンチトースト!」
そこまで言って、ハタと気付く。恐る恐る後ろを向くと、濡れた髪のままの彼がいた。
げ
固まる私に構わず、彼は首を傾げる。
「美味しいんですか?それ」
「知らない。やったことないもの」
「案外、ハムやチーズを乗せたら美味しくいただけるかもしれませんね。ですが今回は、確実に食べられるものをお願いします」
そう言うと、彼は私の唇に啄むようなキスをする。
「貴女が愛しくて堪らないんですよ。許して下さい」
その言葉と共に彼は私を抱きしめた。
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