後日談ーFascino fortunato

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「-っ。ズルい」 「そうですね」  肯定されても、正直困る。  が、そんな私に構わず、彼はボウルに卵を割り入れた。 「お詫びに、朝食は私が作ります。貴女は座っていてくれて大丈夫ですよ」  そう言って、私をリビングへと促す。  しばらくすると、バターの焦げる匂いと食欲をそそる音が聞こえてきた。 *** 「おまたせしました」  しばらくすると、テーブルの上に想定していたメニューが並ぶ。 「どうも」  精一杯不機嫌を表した顔と声音で言うと、彼は小さく笑った。 「いい加減、機嫌を直して下さい。もっとも、そんな槙さんも大好物ですが」 「・・・は?」 「昨日は眠っていたので手を出しませんでしたが、そのせいで欲求不満気味なんですよね」  何気ない調子でさらりと言ってのけられる。  まぁ、彼はこの一週間殆ど帰ってこなかったのだから、当たり前と言えば当たり前か。  
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