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ただ、こちらにもこちらの都合というものがある。
「残念。生理中」
それだけ言うと、溜め息を吐いてフレンチトーストにフォークを伸ばす。
本当はあまり食欲もないが、食べないわけにもいかないだろう。
彼は、私の周期など把握済みなのか、特に驚いた様子もなく頷く。
「そういえば、そろそろでしたね。薬は飲みますか?」
「あー、お願い」
「あと、午後に出掛けたいんですが、一緒に行けますか?」
「は?うーん、どうだろ」
いきなりの誘いに、嬉しさよりも驚きが増す。現実的な話、こればかりはどうしようもなかった。
溜め息混じりにアボカドのサラダに手を伸ばす。
咀嚼したそれを飲み込むと、彼の目が細められた。
?
「行けるようなら、婚約指輪を見に行きましょう」
・・・
あまりの驚きように、持っていたフォークを落としそうになった。
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