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「タッチヒーリング、って知ってます?具合が悪い時に人が傍にいると、治りが早くなるそうですよ」
薬を飲んだ後、洗い物を終えると彼はそう言ってベッドの中に入ってきた。
「とりあえず、アラームはセットしたので、一緒に休みましょう?私も、夜勤明けで眠たいです」
そう言うと、私を抱きしめながら寝息を立てる。
つられて、私も眠りの世界へと誘われた。
***
アラームに起こされたのは午後二時。目覚めると、幾分か調子は良くなっていた。
「・・・ん、あれ?海?」
傍らにいた筈の彼の姿を探し、寝室を出る。
覇気のない足取りで廊下を進むと、昼食らしき匂いが鼻腔を擽った。
「起きましたか?調子はどうですか?」
キッチンで立ち止まると、エプロン姿の彼が顔を覗かせる。
「・・・そこまで悪くはないわ」
「それはよかった」
そう言って、彼は嬉しそうに笑った。
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