後日談ーFascino fortunato

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「うん、これがいい」  そう言って、彼女が選んだのはエメラルドとダイヤがあしらってある二連タイプの指輪だ。 「それでいいんですか?」  もしかして遠慮させてしまっているのでは、と彼女を見ると、何の躊躇いもなく頷く。 「海、カラコン外して」 「は?ああ、分かりました」  その言葉の意図するところを読み取り、私は左目のカラコンを外す。 「ね?おそろいでしょう?」  そう言って、嬉しそうに笑う彼女の笑顔に、思わず動揺してしまった自分がいた。 「すみません。これ、このまま着けて帰って行ってもいいですか?」  込み上げて来る笑みを隠せず、口元に手をあてて誤魔化す私をよそに、彼女は店側との交渉を始めていた。
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