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「貰ったんだけど、ペアチケットなんだよね。で、槙さんは一緒に行けないかなぁ、と思って」
そう言って、彼女はそれを机の上に置く。
内容を見ると、カフェで開く、ピアノのコンサート。曲目は、モーツァルトを中心としたクラシックが主だった。
場所は幕張付近。
「・・・いいの?」
「いいよ。っていうか、茶飲み友達の上司に『本当は私が行かなきゃいけないんだけど、遠くて行く気がしないから』ってもらったものだしね~」
クラシックは嫌いではない。それに、今日という日を一人で過ごしたくはなかった私にとっては、思わぬ朗報だった。
当然、断る理由はない。
「それじゃあ、ありがたく同行させてもらうわ」
「さっすが槙さん、話が分かる」
彼女は笑って、チケットを一枚私に差し出した。
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