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「ハイ、ストップ」
私が近くの扉から店の外に出ると、少し離れたところでそう声が聞こえた。
・・・
この声は、日生ちゃんではない。
音源を辿ると、金髪に青い目の少年が、必死の形相をした女性を取り抑えている。
「日生、一応県警には連絡したけど、どうする?」
涼しい顔で彼が問うと、さっきまで暴れていた彼女が抵抗する力をなくし、その場で項垂れた。
私が驚いて後ろを向くと、そこでは日生ちゃんが、表情のない顔で女性を見ている。
コワ・・・
先程の青ざめた顔が嘘のような彼女は、能面のような冷めた顔のまま、女性に歩み寄った。
「そうね。とりあえず、貴女の旦那さんの浮気相手は、あのピアニストじゃない、っていうことだけ教えておきましょうか」
・・・
「-つ、そんなハズ、ないわ!」
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