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「で、槙さん。コイツが海の言う『あしながおじさん』家の居候だから」
「ああ。その節はどうも」
爆弾騒ぎの際に、かなりお世話になったことを思い出し、礼のつもりで頭を下げた。
アルと呼ばれた少年は、その時のことを知っているのかいないのか、まじまじと私の顔を見る。
「確か、海の子供を身籠ってたんだっけ。色んな意味で、凄いよな・・・」
・・・
初めの頃の彼を思えば、彼の言葉はもっともだった。
一瞬、『今の私は貴女への愛でできています』と言った彼の言葉が頭を過り、即座にそれは溜め息へと代わる。
「槙さん、海に何を言われたの?」
含み笑いを浮かべて、日生ちゃんが聞いてくる。
っていうか、何で分かるわけ・・・
私がうんざりした顔を向けると、彼女は楽しそうに笑った。
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