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『二宮誠一』は、院長を愛人として囲っている政治家の名前だ。
前院長が亡くなり、病院が危なくなった時、院長の昔馴染みだという彼が援助を申し出てきた。
日生ちゃんはそれを知っているのかいないのか、目を伏せる。
「公安二課長の二宮凛子(りんこ)警視正は、二宮誠一の娘だよ。本人は、愛人作って母親を捨てた父親のことは嫌ってるみたい。
『不本意だろうがなんだろうが、結婚して家の力を使っている以上、責任は持て』ってキレてた」
「・・・」
「そのせいか本人は、未だ独身。父親の持ってくる結婚話がウザくて堪らないみたい」
途中から、何やら変な方向に話が流れてくる。
・・・ああ、確かに彼女の目は左に寄っていた。
「でもさぁ、ぶっちゃけ匂宮(におうのみや)には、御厩(みまや)さんが合ってる気がするんだよね。だって、あの二人ツーカーっぽいし、御厩さんの話をすると、匂宮もたまに瞳孔開くし」
「・・・いや、その二人知らないし」
途中から完全に自分の世界に入って捲し立てる日生ちゃんに、そう言及した。
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