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「『匂宮』っていうのは、二宮課長のアダ名。あの人、心理学の博士号持ってるから。で、『御厩さん』が私の直属の上司。海の『あしながおじさん』だよ。
御厩さんのパパも政治家やっててね。同じ政党内でも、匂宮のパパとは派閥争いしてるらしいよ。ロミジュリみたいだよね」
アハハ、と彼女は笑うが、それは笑えるような話か。
「笑えない話もいいとこなんだけど」
敢えて言及すると、彼女はなに食わぬ顔でこちらを見る。
「笑い飛ばさなきゃシャレにならない話なんて、そこら中に転がってるよ?」
そう言って微笑む彼女の目は、笑っていなかった。
もっとも、それが彼女の歩んできた道なのだろう。
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