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「私が全力疾走してそこに着いたとき、目の前には血まみれのナイフを手にしたボビーと、その横の血だまりでこと切れているセレアがいた。
私は、ナイフを持って、怯えた目で私を見たボビーに言ったんだ。『Do you kill me ,Bobby?(私を殺すの?ボビー)』って」
今にも泣き出しそうな顔で笑う彼女に、かける言葉が見つからない。
「そのセリフに、我に返ったボビーは混乱して、持っていたナイフで自分を刺したよ。
とりあえず、その後は御厩さんを呼んで事なきことを得た」
「で、どういうカラクリだったの?」
「解離性同一性障害。所謂多重人格だね。ボビーは、DV を苦に入水自殺を図った母親の道連れで生き残ったサバイバーだったから。
その時に別人格が生まれたみたい。『生き残りたい』という欲求の塊だったのが、連れ戻された家の地下室で虐待を受け、歪んだ人格が『ロブ』。その暴走を止めるために生まれた、理性的な人格が『ロビン』だよ」
皮肉めいた笑顔を浮かべて、彼女は言った。
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