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そこから先の言葉を口にするには流石に抵抗があるらしく、彼女は空を仰ぎ、溜め息を吐いた。
「私が報告を受けて現場に着いた時は、現場は血まみれ。水月は腹を刺され瀕死の状態で、ロブは足の筋を切られて救急車で運ばれるところだった。
その横で、真っ赤な右腕を弛緩させて、一人呆けてたのが海。退院した後しばらくして、海は薬を飲んで自殺を図った。
病院に運ばれ、目が覚めた時に、海にはこうなったのは私のせいだ、とだけ伝えたよ。実際、私の一言で、ボビーは自殺願望を持って、外に出たら危険な状態らしいしね」
だから、全ては自分のせいだというのだろうか。
「別に、日生ちゃんが悪い、ってわけじゃないでしょう?」
それだけ口にすると、彼女は力なく笑う。
「誰が悪かったのか、この件に関しては未だに分からないんだよ。だけど、事象には必ず要因がある。そうである以上、私達は全員が被害者である前に加害者なんだろうね」
大人顔負けのその言葉に、彼女こそが一番の被害者であるような気がした。
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