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結局、彼女は麻酔で落ち着かせた後、救命センターで様子を見ることになった。
彼女の錯乱は、アルコール依存症の夫から逃げて来たことによる、一時的なパニック状態だったらしい。
加えて言えば、彼女は心臓が弱く、出産に耐えられる状態かは分からなかった。
「先生。私、産んであげたいんです。だから、お願いします」
そう懇願する彼女を、同僚の宮城は「そんなのは親のエゴだ」と、よく医局で切り捨てていた。
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