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「まったく、嫌になっちゃうわ」
子供は、産んだら成人するまで育てていかなければならない。
そして、それを保護するのは親の役目だ。
その言葉を常々口にしている宮城医師には、思うところがあるのだろう。
或いは、シングルマザーの彼女にしか知らない苦労があるのかも知れない。
「いくら望んで産みたくても、環境が揃ってなければ、意味ないでしょうに。
そんなに我が子に苦労をかけたいのかしら」
「まぁ、『艱難汝を玉にす』とも言いますけどね」
「・・・何それ?」
フォローのつもりで言及すると、彼女は疑問符を浮かべてこちらを見た。
日本では、あまりメジャーな言葉ではないらしい。
「人は困難を経て成長する、っていう意味ですかね」
苦笑いを浮かべて言うと、途端に溜め息が帰ってきた。
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