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「宮城先生!中澤(なかざわ)さん、容態急変しました!すぐ来て下さい!!」
ナースがそう言って医局の扉を開けたのは、宮城医師が巾着に紐を通そうか、という時だった。
お呼びがかかると、彼女は手にしていた紐を置き、代わりに聴診器をつかんで走り出す。
「心電図、用意して!」
ナースに向かってそう叫ぶ彼女は、すでに医者の顔へと変わっていた。
「あの、碧先生」
それと入れ違いにして、新人ナースがおずおずと入ってくる。
「すみません。押田さんが、食事を摂ってくれないんですが、どうしましょう?」
「・・・」
唐突な申し出に、肩を竦めて彼女を見た。
「分かりました」
返事をして、自分も席を立つ。
担当医の宮城医師は、容態が急変した患者の元にいる。ならば、自分が行くしかないだろう。
そう判断して、机の上の聴診器を手にする。
「とりあえず、彼女のカルテを見せて貰えますか?」
そう言いながら、自分も席を離れた。
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