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「・・・そんなこと、分かって、ます」
そう呟く彼女の目尻には、涙が浮かんでいた。
「でも、コウちゃんは お酒を飲んでなければいい人なんです!ううん、お酒を飲んで暴れた後も、ちゃんと謝ってくれます!
子供が産まれれば、きっと、ちゃんとしてくれるハズです!」
やれやれ
若干、白けた気分になりながら彼女の言葉を聞く。
「そうですか」
まずは一旦、肯定しておく。
「だったら、尚更食べないと。お母さんは、赤ちゃんの分も栄養が必要ですから」
「・・・はい」
言いたいことを言って気が済んだのか、あるいは反抗する気力をなくしたのか、彼女は口をつぐんで頷く。
「いただきます・・・」
そう言って、箸をとった彼女が食事を済ますのを待って、私達も病室を後にした。
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