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「つまり、碧先生は押田さんを宥めて、食事をさせた、っていうこと?」
医局に戻ると、処置を終えた宮城医師がナースを前に腕組みをして唸る。
「・・・特に問題はなかったんじゃない?まだ、時間はあるんでしょ?」
「先生!!」
「落ち着きなさい。まずは、食事をさせることが先決、っていう碧先生の判断は間違ってなかったと思うわ。
それに、彼女がどうしても産みたい、っていうのなら、彼女の親御さんに連絡を取ったり、やらなきゃいけないことはたくさんある。
彼女の説得は、それからでも遅くないわ」
宮城医師は、それだけ言うと、ナースの彼女を呆れたように見た。
「確かに、押田さんには子供を育てる能力も環境も、あるとは言い難いわ。だけど、私の一存で、子供を堕ろすことはできない。
それなのに、今、やみくもに反対して、彼女との関係を悪くしても仕方ないでしょう?」
「・・・はい」
その言葉に納得したのか、ようやく彼女は溜飲を下げた。
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