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「碧先生も、ごめんなさい・・・」
彼女は、自分にも頭を下げていく。
患者を慮るあまり感情に走りやすいのは、新人に見られがちな傾向であるので特に気にしてはいないが、素直に頭を下げる彼女には好感が持てた。
「患者さんのことを思うのは、悪いことではありませんよ。今後も、その気持ちを忘れずにいて下さい」
そう言って微笑むと、何故か彼女は頬を赤らめる。
?
「み、碧先生って、いつも笑ってますよね」
「あぁ、それですか」
『愛想笑いの一つでも覚えなさい。今のままじゃ、クレームがつくわよ』
一瞬、自分にそう告げた女性の声が脳裏に蘇る。
あの時から、彼女は自分にとって特別だ。
「私の心はたった一人のお姫様に捧げてますから、その人が望むままに笑ってるだけですよ」
「「「・・・」」」
一瞬、空気が固まった気がしたのは気のせいだろうか
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