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それについても、彼女は溜め息で応じる。
「警察はあまりアテにしない方がいいわね。実際に被害が出ないと、動けないところだから」
「そうですか。・・・他に、シェルターのようなところはないんでしょうか?」
「一応、NPOが運営しているところがあるけど、そこも、一定期間しかいられないわ。どちらにしても、子供を抱えて長期間、は厳しいでしょうね」
・・・
ふと、ある考えが頭を過る。
「宮城先生・・・」
その可能性をスマホの画面に打ち出すと、彼女は無言で頷いた。
「仕方ないでしょう?そうでもしないと、危険なのは目に見えてるもの」
「このことは、院長には?」
事情を知れば、院長も動く筈だ。しかし、彼女は首を横に振る。
「院長は現在出張中。戻ってくるのは、明日の夜らしいわ」
つまり、自分達は明日の夜まで彼女を守り通さなければいけないらしい。
何事もなければいいが
あまり楽観視できない状況を前に、自然と溜め息がこぼれ出た。
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