La mia cara

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「どうしましたか?」 「碧先生!」 「あぁ?」  声をかけると、ナースの方は救いを求めるように、男は邪険にするような目つきで私を見る。  どうやら、小日向ナースが小柄なため、対比で大きく見えただけらしく、やや筋肉質だが、普通の体格だった。  試しに一歩近づいてみると、男は今までの勢いが嘘のように、へらへらとした笑みを見せる。 「な、何だ、先生ですか」 「ええ。呉羽総合病院の碧と申します。どうされましたか?」  私が笑顔を浮かべて問うと、彼は後ずさった。  私の身長は百八十センチと少し。日本人にしては高めだが、恐らくそれだけが原因ではないだろう。 「・・・あ。先生、ですか?」 「はい」 「あー、・・・昨日、そちらにウチのが運ばれてきたらしいんですが、どうでしょうかね?」  さて、どう答えるべきか 「昨日運ばれてきた方、ですか。何人かいらっしゃるので、特徴とお名前だけ教えていただけますか?」 「え・・・っと、名前は押田桃子。妊娠している、三十歳の女です」
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