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「ん・・・」
薄い暗闇の中、目が覚める。
ぼんやりとした意識の中、視界に入るのは、見慣れた彼の顔だった。
気難しそうな顔しちゃって
眠ったままの彼の顔を見て溜め息を吐く。
彼を家に招く関係になって三ヶ月。
なかなか休みのとれない彼は、それでも暇を見つけては私の家にやってきた。
そして、夜になると私を抱き締めて眠る。それはいいのだが、近頃は夢見が悪いのか、苦しそうな顔をすることが多かった。
「・・・Sorry 」
うわ言を呟く時は、大抵誰かに謝っている。
そのくせ、一度目が覚めると、そんなことは嘘のようにいつも通りの顔で笑うのだから、手におえなかった。
その原因も分かっている。だから、尚更何も言えない。
「貴方と同じものが欲しい、っていうのは完璧なワガママよね」
そう言って、彼の胸元に頭を寄せた。
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