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***
異変を察したのは、宮城医師が説明を始めて間もなくのことだ。
部屋の外がざわついている。
急患か?
「碧先生!」
そう思っていると、馴染みのナースが血相を変えて顔を出した。
「どうしました?福留さん」
「すみません、ちょっとよろしいですか?」
・・・
嫌な予感が頭を掠める。
が、それとこれとは別だと自分に言い聞かせて、私は廊下に出た。
***
「押田さんの容態が、急変しました」
扉を閉めるなり、彼女は言う。
「・・・分かりました」
そう言って、足早に廊下を急ぐも、頭の中を占めるのは『何故?』という疑問符だ。
彼女は、本当は心疾患など抱えていない。
そう思った瞬間に、先程病室で見た、彼女の不安気な表情が頭に浮かんだ。
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