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屋上の扉を開けると、そこには星空をバックに望遠鏡を構える二人の姿があった。
「あ。槙さん、ヤッホー」
中に入ると、途端に彼女と太陽は私を見つける。
「貴女達は、一体何してるの?」
「見れば分かるダロ。星を見てる」
太陽は、変わらず小憎らしい口をきく。
これに反応しても仕方ない、と私は溜め息を吐いた。
夜中の屋上にも映える、薄い金髪と闇に溶け込みそうな黒髪。相反する色彩をたたえた子供達は、それぞれ望遠鏡と図鑑を覗きながら、時折目配せをして笑い合っている。
そう言えば、子供らしい日生を初めて見たかも知れないと、内心安堵の息を吐いた。
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