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彼女の言葉に、慌てて腕時計を確認する。
「今?もうすぐ十時になるところだけど」
「OK。今すぐ片付けるから、ちょっと待ってて」
その言葉と同時に、私の肩に温かいものがふわりとかけられる。
?
ぬくもりを持ったそれが彼女のコートだと気づいた時には、彼女はすでに望遠鏡の撤収作業にかかっていた。
・・・ずいぶんと男前だこと
思わぬ一面に苦笑しながら見ていると、途端に太陽が口を尖らせる。
「もう終わり?」
「初めから、三十分っていう約束だったけど?」
「Что не понравилось.(嫌だ)」
「じゃあ、もう屋上での天体観測はナシね」
「えー!?」
今度は『お母さん』に見えるわ・・・
半ば呆れながら、奇妙な関係の二人を見守った。
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