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そして実際、二つ返事で許可は下りた。
「日生も行くんでしょう?だったらいいわよ」
「はぁ・・・」
そうは言うが、太陽の容態は以前より悪くなっているように見える。
トイレから戻って来るのが遅いと言って探しに出た日生が、廊下で倒れている彼を見つけたのは一昨日だったか。
そんな体で外に出て、何かあったらどうする?
不満気に黙り込んでいると、院長はそれを察したかのように笑った。
「貴女の言いたいことは分かるわ」
「じゃあ」
「でも、もう太陽は永くないの。
だったら、如何に心残りがないように逝かせてあげるか、っていうのも、大事じゃない?」
苦しそうに笑う院長に、その信憑性の程が窺えた。
それに返せる言葉の持ち合わせもなく、私は一瞬息を呑む。
だとしたら
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